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よくある症状

夜尿症(おねしょ)

2022.03.04

“夜尿症”とは、夜寝ている間におしっこを無意識に漏らしてしまうことを、おねしょ・夜尿症と言います。おねしょは、「夜間就寝中につくられる尿の量」と「尿をためる膀胱の大きさ」」とのバランスがうまくとれていない場合に起こります。

幼児期(乳児から幼稚園児の時期)に起きるものを「おねしょ」と言い、必ずしも病気とは言えません。しかし、5~6歳(小学生入学時期)以降に起きるものを「夜尿症」と言い、月に数回以上続く場合のことを指します。

5歳で5人に1人(約20%)、小学校高学年(10歳)でも20人に1人(約5%)くらいに「夜尿症」は見られます。

① 原因と症状

おねしょ・夜尿症は、下記のように複数の要因が重なって起きることが一般的です。

  • 夜間の尿量が多い(膀胱とのバランスがうまくとれていない)
  • 夜間の膀胱容量が未熟(膀胱が小さい、もしくは生成される尿の量が多い)
  • 睡眠障害
  • 心理的ストレス
  • 膀胱や腎臓の器質的な異常

② 受診の目安

おねしょ・夜尿症の多くは成長とともに自然に治っていくことが多いです。また、身体に夜尿が悪影響を及ぼす可能性が低いということもあり放置されることが多い病気です。
しかし、夜尿が継続的に小学生になってもある場合は、お子さんが夜尿をしていることで自信を喪失し、精神的育成、QOL(生活の質)、つまり、心理面・社会面に様々な負の影響を及ぼすことがあります。
例えば、小学校の修学旅行(外泊)や幼稚園のお泊りの際に、「おねしょ・夜尿をしてしまうのではないか」という心配をしてしまい、「行きたくない」、「友達に笑われる」などの不安が出てしまいます。
このような不安は、ストレスとなり夜尿の消失時期を遅らせる要因になるので、お子さんの健全な成長のためにもなるべく早く治療する方が良いでしょう。

③ 治療

「夜尿症」の治療は、小児科医の指導のもと、生活改善を行い、それでも治らない場合はお薬やその他の方法で治療を行っていきます。先述したように、「夜尿症」である多くのお子さんが治療をしないで様子を見る傾向がありますが、積極的に治療に取り組むことで自然に治るのを待つより早く夜尿症の悩みや問題から解放されています。

●薬物療法

以下の薬剤を単独で使用する、もしくは、いくつかの薬を組み合わせて使用することがあります。薬の使用する量や使用する期間は年齢や症状によって異なります。

  • 抗利尿ホルモン薬(内服薬、もしくは点鼻薬)
    【効果】尿の濃度を濃くし、尿量を少なくする作用を持つ薬剤。
  • 抗コリン薬(内服薬)
    【効果】膀胱に尿を多く溜めれるように、膀胱機能を安定させる薬剤。
  • 三環系抗うつ薬(内服薬)
    【効果】抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用がある薬剤。もともとはうつ的な状態を明るくしてくれる薬剤でもあります。
  • ・漢方薬
●アラーム療法

パンツ自体に水分を感知するセンサーを取り付けておき、夜尿の水分をセンサーが感知しアラームが鳴るようにしておきます。そのアラーム音が寝ている間の排尿抑制訓練となり、排尿を抑えることで、徐々に睡眠中の膀胱容量を大きくしていく治療法です。

●心理カウンセリング

半年(6か月)から1年程治まっていた夜尿が再発したり、夜尿が起きる原因がストレスなっている可能性が高い場合に行います。

●手術治療

泌尿器に何かしらの疾患がある場合には手術治療が行われることもあります。

④ 家庭でお子さんと接する時に大切なこと

寝ている間にお子さんの意思とは無関係に生じるのが「夜尿」です。そのため“夜尿をしたお子さんを叱る”ということをしても、“おねしょ・夜尿症の改善には繋がりません”。
また、お子さんを無理やり起こして排尿させる行為は、お子さんの睡眠リズムを崩す原因となるので避けた方がいいでしょう。
繰り返しますが、夜尿(おねしょ)をしたからといってお子さんを怒ったり、無理強いすることは逆効果です。
お子さんには「夜尿は必ず治る」と伝えて安心させながら、夜尿がなかった日は褒めてあげるようにしましょう。夜尿(おねしょ)に対する不安や心配を持っているお子さんを親御さん・ご家族全員がサポートしていることを感じさせ、自分で治そうというやる気を起こさせることが大切です。