2022.03.04
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発達障害とは、脳機能(脳内の情報処理や制御)の発達が生まれつき偏りがあることにより生じる障害です。特定のことには優れた能力を発揮する(得意)一方で、ある分野に関しては極端に苦手(不得意)と凸凹(でこぼこ)な状態、過ごす環境や周囲の人との関わりによるミスマッチなどから、日常生活、社会生活に困難が起こります。発達障害は、その症状や悩みは人それぞれで、外見からは分かりにくいです。
そのため、発達障害の特性をご理解されていない場合、
「自分勝手な子」「わがままな子」「困った子」などと受け取られ、「怠けている」「親の育て方が悪い」などという声を聞くことも少なくないのではないでしょうか。
十人十色の症状や悩みの内容の困難さは、日常生活の環境を調整したり、発達障害の特性に合わせた方法で教育していくことで、状況も変わってくると言われています。お子様と周囲の人がその子の個性・能力・希望などをしっかりと理解した上で、その子に合ったサポートをしていくことが大切です。
発達障害は、大きく3つのタイプに分類することができます。
自閉症スペクトラム(ASD)は、ⅰ.言葉の発達の遅れがある ⅱ.他人とのコミュニケーション能力が苦手 ⅲ.興味や関心を持つ幅が狭く物事に対する強いこだわりを持っている これらの特徴が3歳くらいまでに現れます。同じ行動を繰り返したり、柔軟な思考や変化への対処が難しい場合もあります。
ASD(自閉症スペクトラム)の中にも様々なタイプがあり、知的障害を伴うケースや言語障害を伴わないケースもあります。診断時期や診断名、診断基準によっては、
などの名称や疾患概念で分けられることもあります。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の行動特徴としては、
など、年齢に見合わない不注意があったり(注意欠陥)、多動性・衝動性によって日常生活や学業・学習に支障が出てしまうこともあります。
感情や行動をコントロールすることが自分自身では難しく、また周りから批難されたり、叱責を受けることがあったりしまいます。
学習障害(LD)は、知的発達に関して大きな遅れはないのですが、読む・聞く・書く・話す・計算するという特定の行動が難しい状態です。学習障害(LD)の多くは、学校に行き教育を受け始めてから(学齢期になってから)はじめてわかります。例えば、読むことはできるが書くことが苦手、数学だけが理解ができないなど、特定の分野に得手不得手が偏る傾向が多く見られます。
実行が難しい行動によってタイプが分かれ、
などに分類されることもあります。
発達障害の症状や悩み事は、一人ひとりの年齢や特性によって異なりますが、発達障害の子どもによく見られる悩み事です。年齢に見合わない行動や発達の遅れがある場合、また、ご本人やご家族が困っている・悩んでいる場合などには、一度ご相談ください。
例えば、「同じおもちゃでなければ遊ばない」、「スケジュールが急に変わると活動できない」など、
これらの悩み事や困り事の行動の背景には、
など、それぞれの症状の特性が複雑に関係していることもあります。
個々の行動の特性が理解されないまま、「困った子」「できない子」と誤解され、行動を正そうと叱られることで、子どものやる気や自信をなくしてしまうことが多いです。このようなことが積み重なり、不登校や引きこもり、うつ、反抗挑戦性障害といった二次障害を引き起こす可能性がありますので、二次障害を防ぐためにもそれぞれの兆候を見逃さないことが大切になってきます。「困った子」というのは周りの考え方です。そうではなく子ども自身も悩んでいる・困っていると考え、早期にサポートしていきましょう。
発達障害の原因は、障害や個々のケースによって異なりますが、現在のところはっきりとわかっていません。有力な説としては、先天的な脳の機能障害による発達や認知の偏りというものです。脳の機能障害が引き起こすメカニズムや要因に関しても現在研究段階です。その一方で、昔言われていた「親のしつけ方が悪い」「親の育て方が悪い」「親の愛情不足」という心理的・精神的な考え方は現在では医学的に否定されています。
遺伝的な要因も指摘されることもありますが、親から子へと必ずしも直接的に遺伝するものではありませんし、様々な遺伝要因や環境要因などが複雑に影響して現れると考えられます。現段階では、すべての人に当てはまる原因の解明は難しいとされています。
そのため、大切なことは、本人や家族は「なぜ発達障害になったのか?」という原因を追及することよりも、今お子様が何に困っているか、何に悩んでいるのか、お子様に合った対処法や環境をどうしたらいいのかを考えることです。