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院長のつれづれ

【院長のつれづれ】ヒトメタニューモウイルス

2022.09.23

最近になって、ヒトメタニューモウイルスという、あまり聞きなれない名前のウイルス(我々医療者としては一般的なカゼウイルスのひとつ)が乳幼児の間で流行ってきています。

ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスと同じく乳幼児の呼吸器感染を起こすウイルスです。おおよそ20年前に初めて報告されたウイルス(20年前に新たに誕生したウイルスという意味ではありません)で、RSウイルスと遺伝子の構造や、発症したときの症状が非常に似ています。

大半の乳幼児が5歳までに感染を経験し、一生のうちに何回も感染します。
RSウイルスが2歳までにほぼ全員が感染するとされているので、RSよりは高い年齢のお子様が罹患する印象です。
感染様式としては咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、接触感染です。
潜伏期間は4~6日(RSと同じ)で、1〜2日のインフルエンザよりは長いです。

症状は発熱、咳、鼻水、ひどくなれば喘鳴を伴い肺炎となってしまうこともあります。症状もRSとなんら変わりはありません。
このウイルスに対する特異的な薬はなく、それぞれの症状の対症療法となります。

流行時期はRSの10月〜1月に引き続いてヒトメタニューモは3〜6月なのですが、今年は9月ですね。もっともRSも一般的に寒い季節とされていますが最近は夏場に多いです。

罹患しているかどうかを調べる抗原キットもあるのですが、当院には置いておりません。
特異的治療がなく、隔離期間も定められていないことと、他に調べるべき感染症がある場合、2回、3回とお鼻にスワブを入れるという苦痛をお子様にする必要がでてくることが置いていない理由です。

ヒトメタニューモと同時に、新型コロナ、インフルエンザ、RSなど、一度の鼻腔検体で複数診断可能なキットが開発されればその限りではないと考えております。

新型コロナでもかなり心配が尽きない上、RSに続いてまた新たな感染症か………と思ってしまうかもしれません。
ヒトメタニューモは重症化しないわけではありませんが、新型コロナと同様、正しい知識を持ち、冷静に判断して行きたいです。