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院長のつれづれ

【院長のつれづれ】百日咳および三種混合ワクチン

2025.11.04

昨年末から百日咳の流行が増加しています。

 

百日咳とは百日咳菌に罹患することで発症する呼吸器症状を呈する感染症で、お子さまだけでなく大人にもうつる疾患です。 乳児特に新生児や6ヶ月未満の乳児では激しい連続性咳嗽のため、哺乳困難となったり、ひどくなると呼吸不全や肺炎を起こしたり、まれですが脳症を併発し致命的となることもある注意するべき感染症です。

 

大人での症状は長引く咳程度で悪化せずに自然軽快することがほとんどですが、大人が罹患して問題となるのは、重症化することがある乳児にうつしてしまう可能性があることです。

 

治療法としてマクロライド系抗菌剤が適応となりますが、最近は耐性菌が出てきたり、そもそも症状は百日咳毒素によるものなので、抗菌剤の効果は限定的と思われます。 そのため、ワクチン接種で予防するのが一番効果的です。

 

現在、乳児に対しての定期接種として五種混合ワクチン(以前は四種混合、三種混合)があります。それで乳児期からの百日咳感染を予防することはできるのですが、不活化ワクチンであるため終生免疫はつかず、効果は一般的に長くて10年と言われています。 最後に百日咳含有ワクチンを接種してから時間が経過している人は感染してしまう可能性があり、ワクチン接種希望者からの問い合わせが増えてきています。

 

しかし、です。四種混合ワクチン、五種混合ワクチンは15歳までしか接種できないこととなっており、また、薬品上 4回までしか接種できないことにもなっています。 16歳以上での接種、また5回目以降の接種は薬剤としての安全性が確認できていないためとされています。 なので16歳以上、または混合ワクチンをすでに4回接種している人で百日咳ワクチン接種希望の場合、三種混合ワクチンのみとなります。三種混合ワクチンは何回でも接種可能となっています。

 

ここでまたしかし、です。 三種混合ワクチンは現在(2025.11月)数が少なく、ほとんど入手できないのです。もともと任意接種なので生産量が少ない上に今般の百日咳流行で接種希望者が増加していて、在庫はあっというまに空に………(T_T)

 

そう言っている間に流行は収束して行くのでしょうけど、現状としては生後2ヶ月からの5種混合ワクチンをしっかり接種して予防するのが最善の方法と言えそうです。